意見書
最終更新日:2022年10月16日
令和4年 意見書
令和4年9月16日
地方財政の充実・強化を求める意見書
いま、地方公共団体には、急激な少子・高齢化の進展にともなう子育て、医療・介護など社会保障制度の整備、また人口減少下における地域活性化対策、脱炭素化をめざした環境対策、あるいは行政のデジタル化推進など、より新しく、かつ極めて多岐にわたる役割が求められつつあります。
しかし、現実に地域公共サービスを担う人材は不足しており、疲弊する職場実態にある中、新型コロナウイルス、また近年多発している大規模災害への対応も迫られています。これらに対応するための地方財政について、政府は「骨太方針二〇二一」において、二〇二一年度の地方一般財源水準を二〇二四年度まで確保するとしていますが、それをもって増大する行政需要に十分対応し得るのか、大きな不安が残されています。
このため、二〇二三年度の政府予算と地方財政の検討にあたっては、コロナ禍への対応も勘案しながら、歳入・歳出を的確に見積もり、地方財政の確立をめざすよう、以下の事項の実現を求めます。
記
一.社会保障の維持・確保、防災・減災また脱炭素化対策、地域活性化にむけた取り組みや、デジタル化対策など、増大する
地方公共団体の財政需要を的確に把握し、それを支える人件費も含めて、十分な地方一般財源総額の確保をはかること。
二.とりわけ、子育て、地域医療の確保、介護や児童虐待防止、生活困窮者自立支援など、急増する社会保障ニーズが自治体の
一般行政経費を圧迫していることから、地方単独事業分も含めた十分な社会保障経費の拡充をはかること。また、これらの
分野を支える人材確保にむけた自治体の取り組みを十分に支える財政措置を講じること。
三.地方交付税の法定率を引き上げるなどし、臨時財政対策債に頼らない、より自律的な地方財政の確立に取り組むこと。
また、地域間の財源偏在性の是正にむけては、偏在性の小さい所得税・消費税を対象に国税から地方税への税源移譲を
行うなど、より抜本的な改善を行うこと。
四.引き続きの新型コロナウイルス感染症対策として、ワクチン接種体制の確保、感染症対応業務のみに限定しない、より
全体的な保健所体制・機能の強化、その他の新型コロナウイルス対応事業、また地域経済の活性化まで踏まえ、十分
な財政措置をはかること。またコロナ禍対策として行った固定資産税の軽減措置については二〇二二年度をもって終了
するとともに、今後国の施策の一環として、各種税制の廃止や変更、また減税等を検討する際は、地方の財政運営における
予見性を損なわないよう、十分に地方公共団体等の意見を反映し、慎重に検討すること。
五.「まち・ひと・しごと創生事業費」として確保されている一兆円については持続可能な地域社会の維持・発展にむけて
恒久的な財源とすること。また、同規模の財源確保はもとより、その拡充を含めて検討すること。
六.会計年度任用職員制度の運用においては、今後も当該職員の処遇改善が求められることから、引き続き所要額の調査を行う
などし、さらなる財政需要を十分に満たすこと。
七.特別交付税の配分にあたり、諸手当等の支給水準が国の基準を超えている自治体に対して、その取り扱いを理由とした
特別交付税の減額措置を行わないこと。
八.デジタル・ガバメント化における自治体業務システムの標準化にむけ、地域デジタル社会推進費に相当する財源を継続して
確保するなど、十分な財源を保障すること。またデジタル化が定着化していく過渡期において生じ得る行政需要について
も、人材・財源を含めた対応を行うこと。
九.森林環境譲与税については、より林業需要を見込める地方公共団体への譲与額を増大させるよう、その譲与基準を見直すこ
と。
十.地方交付税の財源保障機能・財政調整機能の強化をはかり、市町村合併の算定特例の終了への対応、小規模自治体に配慮
した段階補正の強化など対策を講じること。
以上、地方自治法第九十九条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和4年9月16日
島根県邑南町議会
(意見書提出)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
総務大臣
厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣(地方創生)
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
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