WEB教育長室
最終更新日:2025年7月23日
教育長あいさつ
ようこそ WEB教育長室へ 邑南町教育長 大橋 覚
あいさつ
令和7年3月議会定例会 教育方針
令和7年3月 邑南町教育方針 (215KB)
令和7年3月定例議会にあたり、町長の施政方針を受け、教育委員会を代表して、令和7年度の教育方針を申し述べ、皆様方のご理解とご支援を賜りたいと思います。
現代社会では、人口減少、少子化の深刻化、地域コミュニティの希薄化、学校が抱える問題の複雑化・困難化など、社会の変化は加速度を増し、予測困難な時代へと進んでいます。
また、このような様々な課題に対処しながらも、人生100年時代到来の中、AIの発展を含めたデジタル社会、共生社会の実現、さらには「子ども条例」の具現化といった社会的ニーズにも対応するために、その基礎となる「人づくり」に寄与していく人材の育成やその活躍のあり方を検討していく必要があると考えます。
こうした時代において、町民の皆様一人ひとりの豊かで幸せな人生と地域社会の持続的な発展を実現するために、教育委員会が所管するすべての施策について、大人、子どもを含むすべての「人」を中心とした施策の展開がより重要となります。
持続可能な社会の創り手の育成や、本町に根ざしたウェルビーイングの向上を実現するため、学校、地域及び家庭の協働の下、地域コミュニティの基盤である人々の「つながり」や「かかわり」の土壌を耕す営みを意識し、地域の中で、「人」づくりを意識した施策を進めていきます。
町長の所信表明でもありましたように、「邑南町らしい教育」の推進のため、本物の「ひと、もの、こと」を体感することを意識しながら、大人も子どもも「ふるさと」に誇りが持てるよう、これから述べます教育委員会の施策を展開していきます。
はじめに、学校教育関係の施策についてです。
1つ目に、「邑南町小中学校の在り方検討委員会」についてです。
人口減少や社会の変化を踏まえ、子どもたちに邑南町ならではの最良の学びを提供することが求められています。そのような中で、子どもたちが地域に誇りを持ち、将来の邑南町を担う力を育む教育環境を整えること、多様な学びを支え、すべての子どもたちの学習機会を保障することが重要と考えております。邑南町らしい理想的な教育の追求、並びに持続可能な教育環境を確立するため、委員の皆様に小中学校の在り方について多角的に議論を行っていただき、邑南町の教育が将来にわたって発展し続けるための方向性を示すことを目的として設置します。
次に、「子どもたちの未来を保障する教育」の推進についてです。
子どもたちの未来を保障する教育には、「インクルーシブ教育」や「子どもの権利を大切にする教育」などがあります。「インクルーシブ教育」は、すべての子どもに教育を受ける権利を保障するとともに、子どもたちの多様性を尊重し、社会で生き生きと生活できる基盤を作る点を重視しています。また、「子どもの権利を大切にする教育」は、他者の権利にも目を向け、社会に貢献する力を養うことを重視しています。
これらの教育により、単に就職、進学の目標を実現することや、それに見合う知識、技能を習得させることのみを学ぶのではなく、差別を見逃さない力、差別を許さない力、差別に負けない力、仲間とともに未来を切り拓いていく力の「生きる力」を育み、子どもたちが生き生きと学習し、確かな学力を身につける学校づくりに取り組みます。
次に「いじめ問題の対応」についてです。
「こども基本法」に基づき、「こどもまんなか社会」の実現に向けて、こども施策の基本的な方針を定めた「こども大綱」が令和5年12月に閣議決定されました。
この「こどもまんなか社会」とは、すべての子ども、若者が身体的・精神的・社会的に将来にわたって幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる社会といわれています。具体的には、虐待、いじめ、体罰、不適切な指導から守られ、困難な状況に陥った場合には助けられ、差別されたり孤立したりすることなく、安全に安心して暮らすことができる社会のことです。
いじめ問題から子どもを守るひとつの施策として、令和6年5月に日本福祉大学教授の鈴木庸(のぶ)裕(ひろ)先生に「邑南町いじめ問題対応アドバイザー」に就任いただきました。専門家による分析や助言を通じ、いじめ問題の適切な解決及び防止策の実施につなげております。令和7年度は、毎年開催しているいじめ問題対策協議会研修会に合わせ、鈴木先生を座長に「いじめ防止フォーラム」を実施します。関係者だけでなく町民の皆様にもご参加いただき、地域総がかりで子どもを見守る土壌を形成していきます。
次に「多様な課題を抱える子どもたちへの支援」についてです。
学校には様々な課題を抱えている児童生徒がおり、その課題はより一層複雑化、深刻化しています。そのため学校と情報の共有を図りながら、家庭や地域、行政が連携し、社会全体で解決に向けて取り組むことが求められています。課題を抱える子どもたちを早期に発見し、その教育的ニーズに適切に対応していくため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった心理や福祉の専門人材を配置しています。
社会全体に働きかけ、環境調整や体制整備を行うことで、子どもたちのウェルビーイングの向上をめざします。
次に「子どもの居場所づくり」についてです。
学校に行きづらい子どもに対する居場所づくりについて、現在設置している教育支援センターや学校現場、関係機関の教育的ニーズを把握するとともに、専門家の意見もいただきながら関係各課との協議を重ね、邑南町の現状に則した具体策へつなげていきます。
また、教育支援センターおいては、川本町及び美郷町の児童生徒の受入れ体制を構築し、広域的な事業として実施します。
次に「主体的・対話的で深い学びを実現するための授業改革」についてです。
子どもたちの学習のつまづきの要因は多くあります。子どもたちがどこでつまずいているのかは、令和7年度に実施する「言葉・語彙」「数、形、量」「思考力、推論力」を測る「学びのたつじんテスト」や全国学力・学習状況調査により、正確に見取ることができます。その結果に対応した授業改善や個別支援を実施していきます。
さらに、あらゆる情報から問いを見い出し、必要な情報を収集し、自らの考えをつくり、表現する情報活用能力を進めます。
また、必修化及び教科化された英語教育において、外国語指導員を活用しつつ、小中の接続を意識しながら、英語を用いて互いの考えを伝え合う言語活動も充実させていきます。
授業においては、一人一端末を利用しつつ、小グループなどで取り入れた協働的な学びや他者とのコミュニケーションによる学びを実施することで、学力保障や人間関係形成力を醸成しながら、人間関係づくりにもつなげていきます。
これらを日々の指導に継続的に生かすことで「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力、人間力」の向上を図ります。
次に「ICTの利活用」についてです。
タブレット端末や学習アプリの積極的な活用により、児童生徒一人ひとりの学習意欲や理解度の向上を図ります。授業においても、タブレット端末を有効活用しながら協働的な学習を進めることができるよう、町教研ICT推進部会と連携し、授業改善を図ります。
また、先生が児童生徒に向きあい、教育活動に専念できる時間をこれまで以上に確保するため、学校における事務作業をデジタル化し、負担軽減を図ります。
これらのICT化を推進するため、教育委員会へICT支援員を配置し、学校へのサポートを行います。ICT支援員が学校訪問を行い、デジタル教材や学習アプリの活用をサポートするとともに、先生と協力してICTを活用した授業づくりを行い、児童生徒の学びの質を向上させる取組を推進します。
次に「中学校における学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行」についてです。
国が令和5年度から令和7年度を「改革推進期間」と位置づけ、公立中学校の休日の部活動を段階的に地域連携・地域移行することや、「地域移行」を「地域展開」に名称を変更すること、令和8年度から6年間を「改革実行期間」とするといった方針が示されました。
また県からは、令和6年度末に「中学校における部活動の地域連携・地域移行に係る方針」が公表される予定です。
本町もそれにならい、未来に繋がるよう、また地域に根ざしたスポーツ文化の継承という側面からも、部活動のあり方を具体的に検討し、町の「中学校における部活動の地域連携・地域移行にかかる方針」の策定に取り組みます。また、地域連携として実施している部活動指導員、地域指導者の配置について、引き続き地域指導者の皆様に協力を仰ぎ実施します。
次に「コミュニティ・スクールの導入」についてです。
コミュニティ・スクールは、学校と町民の皆様が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる「地域とともにある学校づくり」への転換を図るための有効な制度です。
この制度を導入、展開することで、小中学校の9年間を通じて、子どもたちと地域との関わりをこれまで以上に深め、邑南町らしいふるさと教育の充実を学校とともに図ります。そのことで、持続可能な「地域づくりの創り手」の育成につなげていきます。そのために、令和7年度の一年をかけ、学校、地域及び関係機関とその必要性など熟議を重ね、地域の実情に応じてではありますが、その設置範囲を基本的に中学校区とし、令和8年度の設置を目標に取り組みます。
次に、「図書館」についてです。
令和7年3月、第4次「邑南町子ども読書活動推進計画」を策定しました。乳幼児期からメディアに接触する機会や時間が増えたことが子どもの「読書離れ」「活字離れ」に影響を与えていることから、親子間での読み語り、「家読(うちどく)」を推奨する環境づくりを進めます。
また、多様な子どもたちへの読書機会の保障に重点的に取り組むため、バリアフリー資料や日本語以外の言語で書かれた資料の収集及びその活用に努めます。
次に、「ふるさと教育、キャリア学習」についてです。
ふるさとを素材とした邑南にしかない生き生きとした体験活動をとおして、邑南町のすばらしさを学び、誇りに思い、そして未来に繋がる取組を学校、家庭、地域協働のもと引き続き実施します。令和7年度は、「おおなんを学ぶ」から「おおなんで学ぶ」を意識して、小学校の6年間と中学校の3年間の9年間での一貫した学びとなる「おおなん学」を実施します。特に中学校では「おおなんで学ぶ」として、邑南町の身近な地域課題の課題解決に向け、情報の収集、課題の整理と分析、探究方法の確認を行い、学んだことをまとめて表現することに3年間かけて取り組みます。ふるさと教育に関わる町民の皆様が参加や指導助言を行ったり、児童生徒が地域での活動に主体的に取り組んだりするなど、キャリア教育とも関連付けながら、学校、家庭、地域が一体となったふるさと教育、「おおなん学」を推進していきます。学校教育及び社会教育双方で実践するふるさと教育について整理・確認し、より効果的な「ふるさと教育」の実施に取り組みます。
続きまして、社会教育関係の施策について述べます。
まず、「公民館」についてです。
社会教育の実践的で最先端な場は、公民館です。公民館は地域住民と行政の協働づくりの場であるとともに、地域住民が気軽に楽しく学べる社会教育の場、地域活動の拠点として、邑南町を持続可能な町にしていく原動力の役割を果たしています。
しかし、少子高齢化や人口減少などの社会問題により、地域においても創り手が不足するなど様々な課題が発生しており、公民館活動においても、関わる方の固定化が課題となっております。今後の公民館活動では、より楽しく学べる機会を創出するとともに、若い人や幅広い世代間交流を意識した学びや体験を行います。また、新しい地域コミュニティの動きと連動して、地域づくりと社会教育が連携して取り組み、公民館を様々な世代が集まり、つながる場にしていきます。
その中で、多くの方に社会教育の幅広さや楽しさを知ってもらい、自発的・継続的に地域課題解決等に取り組む人づくりを行います。
あわせて、公民館で実施される様々な活動について、今一度、参加者の安心・安全を十分考慮した上で活動できるよう努めます。
次に「共生社会の実現」についてです。
おおなんフィンランド協会と連携し、令和6年10月22日から27日に、フィンランドのエスポー高校の生徒・教員18名による邑南町への訪問が行われました。矢上高校の生徒との交流を柱として、町内でのホームステイや小・中学生との交流を行いました。お互いの文化や考えを知ることで、共生社会の実現に向けた学習や国際理解の場となり、邑南町の異文化交流として新たな1ページを刻むことができました。この交流を一過性のものとすることなく、両国の文化を引き続き学び合ことを目的に、令和7年度はフィンランド共和国派遣事業の再開に向けて準備を行います。
次に、「社会体育の推進」についてです。
少子高齢化・人口減少により地域の創り手が減少しており、地域コミュニティの維持が難しくなっています。そこで、「スポーツによるまちづくり方針」を策定して子どもから高齢者までのスポーツ振興やスポーツによる健康の維持増進、スポーツを通じた交流促進に取り組むことで、将来に向けた人材育成及び持続可能なまちづくりをめざします。
町民の皆様の健康づくりや生涯スポーツの一環として、邑南町スポーツ推進委員によるモルック、ボッチャなどの軽スポーツや、フィンランド協会によるノルディックウォークの普及活動を支援します。
また、スポーツ活動を通じた「共生社会の実現」を目指し、障がいの有無にかかわらず、だれもが取り組むことのできる競技の普及に努めるとともに、障がい及び障がい者理解の一環として、学校や地域でのボッチャ、ゴールボールなどの障がい者スポーツ体験活動にも取り組みます。
さらに、2030年に島根県で開催される第84回国民スポーツ大会を控え、令和6年度に実施した中央競技団体正規視察での指示・要望事項を受け、いわみスタジアム・瑞穂球場の会場施設の改修基本計画策定や、大会開催に向けた組織体制づくりを進めるとともに、町民の皆様の気運醸成を図ります。
その他、中学校の部活動における休日の段階的な地域連携、邑南町スポーツ協会を運営母体とした地域クラブ活動への移行に向けた体制整備、受け皿となる団体の立ち上げや指導者育成支援について、具体的な方策を実施・検証します。あわせて、研修会などの開催や、各種団体が開催する研修の情報発信にも努めます。
次に、「文化財関係」についてです。
令和3年10月に久喜銀山遺跡が国史跡として指定を受けたことから、今後の史跡のあり方について保存活用計画を策定し、令和6年度に国への認定申請を行いました。今後、令和7年度から2カ年をかけて整備基本計画を策定し、史跡久喜銀山遺跡の適切な保存を主眼とした具体的な整備方針を定めます。また、保存活用にあたっては町民の皆様との協働により保存・活用に向けた活動を充実させ、次世代への適切な継承に対する機運の醸成を図ります。
また、瑞穂ハンザケ自然館では、令和7年度に環境保全促進事業を計画しています。この事業の開催により、これまで研究で積み重ねた知見を町民の皆様に還元し、自然環境に対する意識の高揚を図るとともに、この取組の積極的な参加を促してまいります。ハンザケ自然館と地域との結びつきをより深め、ハンザケ自然館がこれからも地域とともにあり続けるためのきっかけづくりを行います。
次に「学校給食」についてです。
学校給食については、食材費や燃料費の高騰が続いていますが、そのような中でも保護者の負担を極力軽減するため、地元生産者や納入業者と連携し、食材の確保に努めます。また、これまでどおり安心安全で栄養バランスがとれた給食の提供に努めていきます。あわせて、子どもたちが楽しみにしている給食を作っている給食センターの取組や努力が見えるよう、情報発信に努めます。
最後に、「施設の改修・修繕関係」についてです。
石見中学校については、工事完了予定を令和7年7月末としており、2学期から建物、校庭、外構の全てが使用できる見込みとなっております。
また、全小中学校共通の改修として、令和6年度末時点で校舎の和式トイレ洋式化は11校中7校を完了しており、令和7年度は日貫小学校の改修により達成率77%をめざします。照明LED化は、国が2030年に100%とする目標を掲げていることから、その達成に向け計画的に改修工事を進めます。
さらに、子どもたちの安全確保のため、各学校へ防犯カメラの設置を順次すすめます。また、町民の皆様と各学校の安全教育の取組を共有し、地域と一体となった学校安全の強化に努めます。
以上、令和7年度の教育行政の概要及び教育委員会が所管します主な施策について申し上げました。
今後とも、議員の皆様をはじめ、町民の皆様方の御理解と御支援をいただきますようお願いいたします。
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